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2009-01-17

チョイ悪中年ライダーズ 時を越えて~大学編 Vol.11

「チョイ悪中年ライダーズ

時を越えて~大学編 Vol.11」

 (―― 引越し~若葉ハイツ誕生 ――)

   

東北に来て最初の年が過ぎ・・

やがて2年生になろうとしていた・・

髪は生えて五厘刈りの頭はすっかり元通りになっていた

ある日・・坂元より

「おめーー引越しせーへんか?」

「引越し!」

「ここは家賃が安いけど・・

大学が遠いで授業に出られないっぺ」

「いやーー授業に出ないのは

遠いからで無いような気がするけど・・」

「とにかく・・このままでは留年してしまう・・」

坂元はチェーン付の銀縁眼鏡を掛け直して・・

「そこで・・2年から大学の隣に引っ越しすっぺ!」

「家賃が高いんだろ・・それに敷金が掛かるがや・・」

「それが・・良い物件が有るんだ・・敷金は0で・・

大学の隣で・・バス・トイレ・キッチン付きで・・

押入れベッド?付きで・・出来たばかりの新築だ!」

「おおーーええーーがやーー!それで家賃は?」

「家賃は2万円ポッキリ!」

「2万円きゃー・・」

「2万なんて・・パチンコですぐ稼げるっぺ!」

「そのかわり・・

パチンコ屋に 貯金も倍ぐらいするんだろ!」

「いやーー!そんなことねーーっぺよ!」

「とりあえず・・見に行くッぺ!!」

「OK!」

   

「やっぱり・・新築はええーーがやーー♪」

「だっぺ!」

その物件は大学の南西の角に隣接していた・・

「水洗便所だ!バスも付いているし!8畳もあるし

台所も自分専用だし!南向きで日当たりも良いし!

備え付けの箪笥もあるし!・・ところでこれ何?」

「これは・・押入れベッドだ!」

「押入れベッド?」

「そうだっぺ・・押入れを改造したベッドだ!」

「なるほど・・それじゃ今みたいに万年床でもOKだがや!」

「そうだっぺ!!」

(注:ところが・・結局 押入れは風通しが悪く・・

万年床だと布団の下にカビが発生していたが)

「しかし・・

トイレに入るのに着替えなくてもいいから便利だがや!」

「おめーーまだ着替えてるんか?」

「そうなんだ!だんだんトイレの臭さがきつくなるぜ!」

「そーーいえば・・よく おらん達のトイレに来ていたな」

「あまり我慢するから便秘気味だがや!」

「そうか・・おめーーも苦労してるっぺ!」

「それで誰が入る予定なんだ?」

「一応・・おらと“おっちゃん”・・それと

“赤井”“小石”“高梁”の真面目組み・・」

「真面目組みか・・俺は知らんがやーー」

「授業に出て無いからだっぺ!」

「・・・」

「よしっ!いちど“おかん”に頼んでみよう!」

   

その夜・・

「もしもし・・」

「おみゃーか・・電話代がもったいにゃーで

はよー切りゃー・・」

(注:東北は遠くて電話代が高いので早く切りなさい)

「まだ用件いっとらせんがね・・」

(注:まだ大切な用件を話しておりませんが・・)

「どうせ・・とーろいよーけんじゃあらせんの?」

(注:あんたの事だから またつまらん話じゃありませんか?)

「引越ししてゃーんだけど・・」

(注:引越ししてはいけませんか?)

「引越し・・また何でーー?」

(注:引越し?また如何してでしょうか?)

「大学の近くへ行って勉強の環境を良くしてゃーがね」

(注:大学の近くに住んで

勉強に身を入れたいと思いましたから)

「ほりゃーーええがね!」

(注:それは大変結構ですね)

「但し家賃が少し高なるがね・・」

(注:しかし家賃が少しお高くなりますが)

「そんなもん知らんがね・・

仕送りはそのままでやってちょーよ!」

(注:そんな事は感知いたしません・・

もちろん仕送りも値上げしません)

「やっぱり・・しょーがねーか!」

(注:やっぱりそうか・・しょうがありませんね)

「それでもええなら・・ええがね」

(注:それでも宜しければ結構ですよ)

「りょーきゃー・・そうするがね!」

(注:分かりました・・引越しします)

「おめーーこれだけけ・・」

髭面の“おっちゃん”がびっくりして叫んだ

「あまり不要なものは持たないようにしているから」

引越し当日・・知人から軽トラックを借りてきて

自分の荷物を積んで“おっちゃん”達のアパートに来た

一番デカイ物は中古の冷蔵庫と

買ったばかりの中古のテレビと・・

その他は布団や鍋&フライパン・・簡単な食器類

後は衣服だった・・勿論バイクもあったが

“おっちゃん”の荷物は結構ある・・細かいものが

多いし勿論・・最新鋭の冷蔵庫や新品のテレビやステレオ

まであり・・軽トラ1回では入らない

「“おっちゃん”こんな雑誌まで持っていくのきゃー?」

そこにはビニール紐でくくられた数十冊の本が

幾つか積んであった・・

「おおーーこの古い雑誌が後でプレミヤが付いて

  高く売れるんだぜ!」

「本当かよ・・」

「ところで“坂元”は?」

「あいつは徹夜で引越しの準備をしていたから

まだ寝てるんじゃねえか・・」

“坂元”の部屋に行くと荷物が積んであったが・・

「あれ・・“坂元”は?」

よく見ると“坂元”は布団に包まれて寝ていた・・

「おい!早く起きろっ!引越しするぜ!」

揺さぶって起こすと・・

「んんん・・おっ・・おめーーか!」

「まだ・・早いっぺ・・」

「何言ってるんだ・・もう直ぐ昼だがや!」

「そ・そうか・・じゃあ起きるか・・」

「“おっちゃん”は?」

「もう外で荷物を積んでるがや!」

外に出ると“おっちゃん”が軽トラに

荷物を積み上げている

「おい・・そんなに積んで大丈夫か?」

「大丈夫だ!」

そう言いながら“おっちゃん”は積み上げた荷物を

ロープでしっかり固定している

「こりゃ・・2度往復しても無理だっぺ」

“坂元”は腕を組んで感心している

「こりゃ!“坂元”早く行くべ!」

“おっちゃん”が軽トラのドアを開けて言った

「こんなに積んで本当に大丈夫か?」

「おめーーがバイクで後ろから付いて来て

荷物を見といてくれっっ!」

そういうと“おっちゃん”は軽トラのエンジンを掛けた

   

積載オーバーの軽トラはフラフラしながら走行している

“おっちゃん”は荷物のことなど気にせず隣の“坂元”と

おしゃべりしている・・

――(あいつら気楽だな・・何にも考えてねえぜ!)

そういう自分もお気楽だったが・・

そしてなんとか・・荷物は落ちずにそのままで

新しいアパートに着いた

管理人さんに鍵をもらって荷物を運ぶ・・

一番厄介なのは冷蔵庫だ・・

特に“おっちゃん”の冷蔵庫は結構デカイ最新式だった

三人で冷蔵庫を運ぶ・・

「おめーーーもっとそっちへ行け・・」

「階段が邪魔で・・これ以上行けんがや!」

そう言っているうちに

≪ガリガリガリ≫

「あれぇーー!!」

“おっちゃん”が悲鳴を上げる・・

「おめーーが押すから傷付いちまったぜ!」

「そんなこと言ったって・・」

やっと・・部屋に入れた・・

見ると横に20cmぐらいの引掻き傷が付いている

「こんなデカイ物を買うからだぜ!」

「そういえば・・“おっちゃん”の冷蔵庫が一杯に

       なったのは見たこと無いっぺ!」

「そうか・・“おっちゃん”には《猫に小判》か・・」

「そんなこと無いぜ・・有効に活用してるぜぇーー」

“おっちゃん”は苦しげに弁解している

「そういえば・・そこに置けば傷が隠れるがや!」

ちょうどいい場所に置くと傷は見えなかった

「良かったっぺ!」

「・・・」

新築のアパート『若葉ハイツ』の部屋は1階に7部屋と

2階に7部屋あり

2階―――《14号室》一番奥から俺が入り

その隣の《13号室》が土木科“潮”らしい・・そして

その隣の《12号室》が土木科“坂元”で

その隣の《11号室》が機械科“おっちゃん”

その隣の《10号室》が土木科“高梁”

その隣の《 9号室》が土木科“小石”

その隣の《 8号室》が土木科“赤井”

1階―――奥から

  1番目《 7号室》が土木科“竹多”

3番目《 5号室》が建築科“山元”

4番目《 4号室》が機械科“スズキ”

一番手前の入り口寄り

《 1号室》が管理人だった

〝坂元〟と〝おっちゃん〟以外は付き合いが無かった

   

そして3回も往復すると日が陰ってきた・・

「とりあえず・・部屋に荷物を運んだから 後は明日だ!」

「それじゃ・・引っ越し祝いをするか・・」

近くのスーパーで食料品とビールと安いウィスキー

を仕入れて・・3人で自分の部屋で引っ越し祝いを始めた

「かんぱーーい!」

衣服が詰っている〝みかん箱〟の上で惣菜を並べて

ビールで乾杯した・・

「ところで“おっちゃん”の荷物は多かったがや!

  ガラクタばっかりで・・」

「そんなことはねーぜ・・あれらは後でプレミアが付いて

  高く売れるから持って来たぜ・・」

「持ってくる手間の方が高いんじゃねえか・・」

「そうだっぺ・・特にあの鉄の円柱見たいなものとか・・」

「ありゃー名車ブル510のエンジンのピストンだぜ!」

「ピストンを如何するんだ?」

「何年かすると・・言い値で売れるはずだぜ!」

「・・・」

――絶対に駄目だ・・と思ったが“おっちゃん”の

  はかない夢を壊したくなかったので何も言えなかった

 ~~~~~

時刻は次の日になっていたが3人の宴会は続く・・

「ところで~~

“おっちゃん”!レスリング部は続けるのけ?」

「勿論だぜ♪」

「あんなに弱いのに・・」

「何を言うーーー!最近は強くなってきたぜ!」

「この前の試合で4秒フォール負けだって言ってたっぺ」

「そういう時もあらーーな!」

「いつもそんなこと言ってるようだがや・・」

「ちょっとやってみるか・・」

“おっちゃん”と畳の上で組み手を始めた・・

相変わらず“おっちゃん”はグランド戦が下手だ

力も無いし動きが遅いし関節の取り方もなってないし・・

見てくれは上背もあり筋肉質で強そうだが・・

“坂元”は興味無さそうにテレビを見ていた・・

その後・・スタンド状態で“おっちゃん”のバックを取り

バックドロップ体制に入ったが・・

≪バコーーン・・バラバラバラ≫

――と音がして二人はその場で倒れた

「いてててぇ・・・」

“おっちゃん”は頭を抱えてうずくまっている・・

あたりは漆喰のくずが散乱している

狭い部屋のため・・“おっちゃん”の頭が壁にぶつかり

直径20cm程の穴があいたようだ・・

「おめーーら・・新築の部屋に何すっぺ!!」

“坂元”が真っ赤な顔で騒いでいる

穴をのぞくと・・穴は綺麗に貫通して・・

向こうから誰かが覗いている・・

「おめーー誰だっぺぇー?おりゃーー・・“潮”だ!」

これが隣の住人との最初の挨拶だった・・

   

次の日・・“おっちゃん”とバイクで市内中の

ホームセンターを廻った・・

壊した壁と同じ壁材を購入するために・・

「“潮”も太っ腹だな・・直せば良いって・・」

「別に怒った様子も無かったぜぇ!」

「でも同じ壁材はなかなか無いがや!」

そして最後のホームセンター「ヨッテヨトンカチ」に

入ったところ・・同じような壁材が置いてあった

「これなら・・よく似てるし ばれねーだろう!」

「ところでこの代金はおめーが払うんだろ!」

「ええーー喧嘩両成敗じゃねーーのかよ!」

「何ゆーちょる!俺はでかいたんこぶまで作ったんだぜ!

     おめーーが払うのに決まっちょる!」

「しょーがねーーきゃー・・」

しぶしぶ精算をして購入した・・

 ~~~~~

壁塗りは結構上手く塗れたが・・

「やっぱり・・同じ製品じゃねーーから・・分かるぜぇ!」

「でも・・素人にはこれ以上無理だがや・・」

「それじゃあポスターでも貼っておけば

大丈夫じゃねえか!」

「そりゃ・・そうだ!それじゃ俺はこのバイクのポスター

貼っておこっと・・“潮”のは

このヌードポスターでも貼っておくか!」

「そりゃ・・ええぜぇ!」

ということで壁の修復は出来た・・

   

「よっしゃ・・これで大学の近くだから授業も出れるぜ」

と張り切っていた・・

しかし・・引越しの前にテレビを買ったし・・

壁の修復に掛かった費用も結構高く・・

また皆で一緒に飯を作るようになり

それも結構 食費代も掛かり・・生活がきつくなり

バイトに精を出した・・

そして・・

   

≪ジリジリジリジリ≫

「うるせーーな・・ええーー!もうこんな時間か・・」

目覚ましを止め

「昨夜はバイトで遅かったから・・眠いぜ

午前はサボって午後の授業に出よっと!」

そして布団をかぶった・・

 ~~~~~

「ああーーよく寝た・・さてっ・・授業に行くきゃー!」

目覚ましを見ると・・

「げっ・・もう授業は全部終わっちまったがや!!」

「しょうがない・・学食に飯を食べに行くか!」

「“坂元”と“おっちゃん”は如何してるかな・・」

“坂元”と“おっちゃん”の部屋に行くと

やっぱり彼らは今日も授業に行かずに寝ていた・・

「おおぉーーい!腹減ったで学食で飯食おーーぜ!」

   

そして・・結局 彼らも1年留年した!!

   

   

PS この物語はドキュメンタリーではなく

           作者が勝手に執筆したものです。

   よって登場人物や出来事・言動など

       事実と相違いたしますのでご了承下さい。

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