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2008-10-16

チョイ悪中年ライダーズ 時を越えて~大学編 Vol.9

「チョイ悪中年ライダーズ

時を越えて~大学編 Vol.9」

 (――授業編)

   

入学式から数日後・・

「結構授業があるな・・」

授業は月曜から金曜まで

毎日・・朝から夕方まであった・・

「おっかしーいなー・・文系のやつらは

  ほとんど授業に行かないって言っていたのに」

名古屋の文系の連れは授業も行かずに

バイトばかりやっているとの事だったが

「最初ぐらいは出席するきゃー!」

小原田のアパートは学校よりも駅前に近かったが

最初は何とかバスで通学した

   

「・・うんだからってぇ・・」

「んん・・そうだべ!」

ほっぺの赤い女子高生が

車内でしゃべっている・・

―――(折角の可愛い子ちゃんなのに

こっちの方言は興ざめだがや!)

と心で思いながら学校に通った

   

講義は退屈で居眠りばかりしていたが・・

「おい・・腹減った飯食いに行くっぺ!」

“坂元”が隣でささやいている

「だって・・授業中だがや」

「もう出席カードが廻って来たから大丈夫だ!」

その隣の“粕淵”がそう言ってうなずいている

(注:先生によっては直接出席を取る場合と出席カードで

     出席確認する場合と様々だった)

「次にあのセンコーが黒板に向いたときに出るっぺ」

「分かったがや・・」

と丁度その時・・その小仁多教授は・・

「それでは・・この公式を書いてみる・・」

そう言って黒板に向った

「今だっぺ!」

そして3人は後ろの入り口から消えて行った

 

「あのセンコーの授業はかったりーぜ」

“粕淵”がから揚げを突っつきながら言った

「人は良さそうなんだけど・・授業は詰まらんっぺ!」

“坂元”もラーメンを啜りながら同調している

「おめーは如何思う?」

自分は講義をあまり聞いてなかったので

面白いかどうかは分からなかったが

「まあまあかな・・」

とカレーを頬張りながら答える・・

「それより そろそろ・・バイトを始めんとやばいがや

  どっか知らねーか?」

「おめーーバイトやるんけ!」

「仕送りが無くなってきたがや・・」

「そういえば・・

こいつ・・この前きゅうり一本で飯食ってったっぺ!」

「悪りぃ悪りぃ・・

明日の昼飯奢るから・・勘弁してちょーよ!」

「そういえば・・

駅前のロッテリアに求人の張り紙がしてあったぜ!」

“粕淵”が思い出したように言った

「ロッテリアか・・

そこでバイトすればハンバーガー食べ放題だなや!」

「食い意地の張ったやつだっぺ!」

   

「時給680円か・・」

ロッテリアの前の張り紙を見て

「何か・・むっちゃんこ安いがや!」

しかし・・他にあてが無かったので・・

「こんにちは・・表の張り紙を見たんですが・・」

そう言って中に入ると・・少々年上の聡明そうな女性が

にっこりと微笑んでいる

「バイト希望ですね・・店長!」

彼女が呼ぶと奥から甘いマスクの青年が出てきた・・

「私が店長の斎羽です・・」

「バイトを希望したいんですが・・」

店長は〝ぎょろり〟と嘗め回すような視線で

上から下へと品定めをして・・

「分かりました・・では明日からお願いできますか?」

「宜しくお願いします」

と言う事でこちらでの初バイトが決まった

   

次の日・・

「お早うございます!」

店長は意味のありげそうに〝にやっ〟と笑って

「お早う!早速だがハンバーガーの作り方は・・」

店長は手際よくハンバーガーを作る

「そして・・接客は・・」

カウンターへ移動してお客を接待する

「お客様には笑顔で接客します!」

「はあ・・」

次から次へと矢継ぎ早に説明され・・

「君は笑顔が良いね・・」

「有難うございます・・」

「いける口かな?」

コップを煽るしぐさで・・

「ええ・・少々ですが・・」

(注:まだ未成年だったが)

「それでは・・今晩 歓迎会しようか・・」

「歓迎会ですか・・」

「そう・・歓迎会だ!」

「はあ・・分かりました・・」

「それじゃ・・初めはカウンターで接客お願い・・」

と言う事で接客から始める事になった

「いらっしゃいませ・・」

年配女性のお客が来た・・笑顔が引きつる・・

「何にいたしましょうか・・」

「ハンバーガーとコーラ・・」

「はい!分かりましたハンバーガーとコーラですね・・」

そして・・もたもたしながらコーラを紙コップに注ぐ・・

ハンバーガーは幾つかストックしてある・・

その2品をトレイに乗せて・・

「お待たせいたしました・・有難うございます!」

と渡そうとしたが・・

「ちょっとぉ・・持って帰りたいんだけどぉ!」

そのお客は憮然とした態度で言った

「しっ・・しっつれいしたがや!」

あわてて袋に入れようとしたとき

ハンバーガーを床の下に落とした

すぐに拾って中に入れたが・・

店長が飛んできて・・

「大変失礼しました・・新しいのにお取替えします」

てきぱきと包んでお客様に渡した

「有難うございました・・またいらしてください!」

店長は蛇のような目でにやりと笑い・・

「落としたものは君の時給から差っ引きます

  またポテト付のセットを勧めなさい・・

   少しでも儲けるようにしなくては・・」

その目に睨まれて・・自分は蛙のように縮こまっていた

   

「あの店長・・顔もいいしやり手なんだけど・・

  ちょっと変でしょう・・」

歓迎会で面接の際に会った年上の女性が横に座った

「栄子さんもそう思います・・

失礼だけどなんか目つきが気持ち悪いようだがや!」

「でも・・男の人には優しいのよ!」

「ええーー!!」

「私たちにとても厳しくて・・」

「そうきゃー・・」

「その割りに男性のバイトはすぐ辞めてしまうのよ!」

「・・・」

そして小声になって・・

「噂では男性に迫るって話だわ・・」

「それって・・」

「そう・・ホモセクシャル!」

「ホモォォオ!!」

「しっっ・・横に聞こえるわ!」

その横では店長が他のバイトと話している

「だから・・歓迎会と言っても皆集まらないのよ・・」

参加者は店長と自分と栄子さんと

後は女性が2人だった・・

「だから・・貴方も気をつけてね・・」

そう言った時・・

「何に気を付けるんですか?」

急に店長が怪訝そうな態度でこちらを向いて言った・・

「はいっ!・・接客で嫌な客に会ったときの

  心得を教えていましたわ・・」

―――(さすが栄子さんナイスフォロー)

「そうですか・・それでは後は私に任せて下さい」

そう言うと店長の顔が急に近づいて・・

「貴方の趣味は何ですか?」

「趣味ですか・・」

「そうです・・何かありますでしょ・・」

「そうですね・・スポーツかなや・・」

「良いですね・・男の汗は最高ですね!」

―――(やばい!他のものにしなかん・・)

「いやーー!やっぱりバイクかな・・

        今は実家に置いてあるけど・・」

「バイク!!貴方・・バイクに乗るのですね・・」

「一応・・ライダーだぎゃー・・」

「バイクですか・・」

「バイクだと何か良くないのかなや・・」

「いやーー別に・・」

店長は急に黙り込んだが・・

「それでは遅くなるのでこれで解散にしましょう・・」

「一人3千円になります!!」

「ええーー!俺の歓迎会で俺からも金取るのきゃー?」

「どんな人間でも平等ですよ!」

「ちぇっっ・・今日のバイト代がパーだぎゃー・・」

そう言いながら3千円を支払う

「それでは・・私は失礼します・・」

店長は闇の中へ消えていった

   

「あの店長がさっさと帰るなんて・・

  君・・何かした・・」

栄子さんに二次会と称してショットバーに

  連れてきてもらいカウンターで飲んでいた・・

「そう言えば・・バイクの話になって・・

急に態度が豹変したようだぎゃー・・」

「それだわ・・」

「それって・・」

「たぶん店長はバイクにトラウマがあるのよ!」

「トラウマ?」

「そう!例えば昔・・バイクに轢かれたとか・・」

「ええーーバイクに轢かれたのきゃー!」

「例えばよ!」

「それで・・迫ってこなかったのか・・」

「良かったわね!」

「助かった・・なや・・」

栄子さんはジントニックを追加注文して・・

「ところで君は何処に住んでるの?」

「小原田のアパートですが・・」

「何で通ってるの?」

「バスですが・・」

「バスか・・それで授業には行ってるの?」

「今のところ・・でも移動が大変だなや!

   バスも少にゃーし・・」

「君・・バイク乗るって言ったわね・・

  知り合いが原付バイク余ってるって言ってたけど」

栄子さんは目を光らせながら言った

「ええ!バイク戴けるのきゃー!」

「タダって訳ではないと思うけど・・格安だと思うわ」

「是非お願いします!」

   

次の日・・指定された場所に行ってみると

社会人らしいさわやかな青年が待っていて

「こんにちは・・」

と挨拶すると・・

「君があの店長の魔の手から逃れたミラクルボーイか・・

  栄子から聞いてるよ・・」

「はあ・・ミラクルボーイですか・・

それで・・バイクは?」

「バイクって言うのはおこがましいけど・・これさ」

その青年は傍らにおいてある物体の

シートカバーをたくし上げると

そこには・・

ホンダが世界に誇るオートバイ

≪ホンダ スーパーカブ50DX

が現れた・・

「えーー!古ぼけた“カブ”か・・」

「こらこら・・“カブ”って馬鹿にするんじゃないぜ!」

彼は大げさなゼスチャーで

「これは世界で一番売れているオートバイだ!

  燃費はいいし丈夫で壊れないし見てくれは

   こんなんだが高性能だぜ!」

と誇らしげに言った

「それに・・オートマだが・・こんな事も出来る」

そう言うと彼はキックでエンジンを掛け

アクセルを開けると

≪ババッバババ・・≫

なんと・・前輪が浮いた・・

そして・・

≪ザザザザッツ・・≫

なんと・・その場でスピンした・・

「ゲゲゲゲッ・・ウィーリーとスピンターンだぎゃー!」

「面白いだろ!」

「めちゃんこすげー・・是非・・教えてください!」

それはギヤーの入れ方とアクセルを開けるタイミングの

ちょっとしたコツで出来た!

そして・・その日のうちにその技をマスターして

「有難うございました・・」

「ところでお幾らでしょうか?」

「栄子の紹介だから千円で良いよ!」

「千円!!」

「栄子が君の事・・

貧乏だけどいい奴だって言ってたからな!」

「有難うございます!!」

「それじゃ・・事故らないようにな!」

そしてオートバイをゲットした

   

史上最強のバイク、ホンダ『スーパーカブ』

  本田技研工業の伝統あるバイク『スーパーカブ』は、内燃機関付きの乗り物の歴史において、類を見ない販売数を記録している。これまでに累計6000万台以上が世界の道路を走っている。

この驚くべき数字は、50年前に本田宗一郎氏が設計した49ccバイクの強さを物語っている。日本が後にバイク産業を支配するようになったのも、スーパーカブの登場がきっかけだ。

スーパーカブはそれほど速くもないし、外見もさほど格好がいいわけではない。しかし、基本的な輸送手段にとって必要なものがすべてそろっている。安くて効率的、しかもほぼ不死身だ。

バイクのエンジンは2ストロークが主流だった1958年、ホンダは画期的な4ストロークのスーパーカブを発売した。シートの前をまたいで乗れるデザインと、大きなタイヤを採用し、クラッチ操作を不要にしたおかげで、誰でも簡単に乗ることができた。

最近になって電子制御の燃料噴射システムを採用するなど、機構の改良は絶えず行なっており、排気量の大きな車種を異なる名前で出すこともある。しかし、その外見は年月を経てもあまり変化しておらず、燃費も依然としてリットル当たり60キロメートルを上まわっている。スーパーカブは働き者だ。アジアの都市では、荷物や人をいっぱいに積んで走る姿がよく見られる。米国でも新車が約1400ドルと手ごろな価格で手に入り、世界160カ国で乗られている。

   

   

それからは・・そのカブは東へ西へと大活躍した

そして・・ある日・・

「坂元・・授業抜けて・・飯食い行こまいか!」

「そりゃ・・ええっぺ!」

そして例の小仁多教授が黒板へ向いたとき

2人は後ろの入り口から消えていった

「そー言えば“坂元”はこのカブの技って知ってるきゃー」

学食に行く校内のメインストリートでカブを押しながら・・

「ワザ!」

「そう・・ワザだ!」

そう言うと・・俺はキックでエンジンを掛け

アクセルを開けると

≪ババッバババ・・≫

前輪が浮いた・・

そして・・

≪ザザザザッツ・・≫

その場でスピンした・・

「凄いっぺ!」

「だろ!」

周りの学生がこちらを見て指差している

「もう一度やってみせるっぺ!」

そして俺はカブで演舞して見せた

≪ターン・ターン・ウィーリー・ターン・ウィーリー≫

―――(練習の成果が出たぜ♪)と思いながら演舞する

そして・・周りは人だかりが出来て

「いいぞ・・いいぞ・・」

「ピュー・・ピュー・・」

観客からの声援もあり・・

お調子者の俺は調子に乗って

「有難うございます!!」

左手を上げて演舞する

その時・・

「こらーー!何やっているんだ!!」

土木科で一番厳しいといわれている田之上教授が

真っ赤になって怒鳴っている

観客は皆いっせいにあちこちへ散らばって行った

俺もカブで逃げようとしたとき・・

後ろから〝ニュッ〟と手が伸びてきて

カブのキーを抜いていった

「しまった!!」

「観念しろ!」

「・・・」

そして・・その田之上教授の部屋に連れて行かれ

「今の時間・・講義は有ったのか・・」

「はあ・・小仁多先生の選択の授業ですが・・」

「小仁多教授は大人しいから・・学生に舐められるんだ」

「・・・」

「こんな事・・前代未聞だ!」

その後1時間ほど小言を言われ・・開放された

「それじゃ・・今後はしっかり勉強しなさい!」

「すみませんでした・・」

   

とぼとぼと学食に行くと

“坂元”“おちん”“ヒロトモ”“粕淵”が駄弁っていた

「おおぉーーーい・・大変だったな」

“ヒロトモ”から声をかけられる

「俺・・あの授業の単位は取れんかもしれん・・」

「まあ・・ええじゃねえか・・選択授業だし

他の単位を取って頑張れば・・」

“おちん”がフォローするが・・

「あんなとこで田之上が来るなんて運が悪いぎゃー」

「お調子に乗るからだっぺ!」

“坂元”は悪態をついた

「そういえば・・ロッテリアでバイトしてるんか!」

“粕淵”が話題を変えた

「そうなんだ・・その店長がホモで・・

  この前やばかったけど・・

バイクが嫌いで助かったがや!」

「ホモ?」

「何人も毒牙に掛かっているらしいがや!」

「それで・・ハンバーガー食べ放題なら

        俺たちにも奢ってくれよ!」

“ヒロトモ”が物欲しそうに言った

「それが・・食べ放題じゃないがね・・

一日1個しか食べれんがや!」

「そりゃーせこいぃいっぺ!」

「だろ!あの店長が悪いがや!一度お仕置きしなかん!」

「でも何かやったらバイトは首だぜ」

「そうだな・・今日も事件を起こしてまったから

     しばらく大人しくしとらなあかんぎゃー!」

「そうそう・・真面目にやらなくっちゃ!」

“おちん”が神妙な顔で言った

   

「栄子さん・・有難うございました!」

学食で昼食を食べた後・・バイトに入った

「それでバイクはいくらだったの?」

「それが授業料込みで格安の千円だぎゃー!」

「授業料?」

「バイクのワザを伝授していただいたがね・・」

「ワザ?」

「それが・・さっきそのワザを披露しとったら

    怖い先生に捕まってまって往生こいたがや!」

「・・・」

「栄子さん・・またあの方と会います?

  会ったら宜しく言っておいて欲しいがね・・」

「今晩・・会うから言っておくわ!」

「もしかして・・栄子さんのいい人ですか?」

と右手の小指を上に向けて言った

「もう・・やーーねーー!」

バシンと肩を叩かれた・・

栄子さんを見ると頬がほんのりと赤く染まっていた

―――(ちょっとがっかりしたぎゃー)と思ったとき

「貴方・・ちょっと打ち合わせしますから

控え室に来てください」

店長が中から手招きしている

「はぁーー」

   

控え室に入ると店長が満面の笑みを浮かべて

「貴方・・バイクに乗ってるって言ってたですね・・」

「はーー」

「私・・バイクは嫌いです・・」

「はーー」

「どうして嫌いか分かります?」

「いえ・・」

「実は・・昔付き合っていた彼女がライダーで

  後ろに乗っていたときに振り落とされました」

「ええーー!落ちたのですか・・」

「そして・・そのまま彼女は行ってしまったのです」

店長は遠くを見ながらそう言った

「気がつかなかったのですね・・それでお怪我は」

「幸い軽い打撲だけですみました・・

しかしそれ以来バイクは嫌いになってしまいました」

そして店長は下を向いて・・

「そして私は女性不信に陥ってしまいました・・」

「それでホモに・・」

「ちょっと待ってください・・誰がホモなんですか?」

「いやーー!噂じゃー店長はホモだって・・」

「私は可愛い男性は嫌いじゃありませんが・・

   男性と愛し合うなんていう趣味はありません・・」

「そうですか・・ガセネタきゃー!」

「それで・・貴方に頼みがあります・・

もう一度バイクにチャレンジしようと

思っているのですが・・」

「チャレンジ?」

「実は・・好きな女性が出来ました!

  でも・・どうしてもその時のことが引っかかって

それ以上進展しないのです・・」

「それで・・」

「一度貴方のバイクの後ろに乗せて欲しいのです!」

―――(ええーーホモを後ろに・・気持ち悪りーーがや)

と思ったが

―――(そういえば・・ホモ疑惑は晴れたか・・)

と譲歩して

「分かりました・・それではお引き受けするがね!」

「有り難うございます!」

「それで・・何時乗るのきゃー?」

「思い立った時が吉日です・・

今日・・店が終わったときに行ないましょう」

「了解だがね!」

   

「ええーーこれがバイクですか・・」

店長はスーパーカブを見て言った

「いやーーもっと大きなバイクも持っとるけど

       家に置いてまっとるがね・・」

「元カノとは全然違う・・」

「これを馬鹿にしてかんがね!」

そう言うと・・俺はキックでエンジンを掛け

アクセルを開けると

≪ババッバババ・・≫

前輪が浮いた・・

そして・・

≪ザザザザッツ・・≫

その場でスピンした・・

「凄い!」

そしてその応用編の演舞をした・・

≪ターン・ウィーリー・ターン・ターン・ウィーリー≫

「ええーー!こんなことが出来るのですね!」

「さーー!この荷台に乗りゃー!」

荷台には座布団がしいてあった・・

店長がその上に乗った・・

両腕が後ろから廻ってくる・・

店長の体が後ろに張り付いたとき・・

ちょっと〝ぞっ〟としたが・・気を取り直して

「行きますよ!」

「はい!お願いします!」

アクセルを煽って発進する・・

店長の手に力が入るのが分かる

夕方の人通りのあるメインストリートをゆっくり走る

その後・・

信号を左折する・・ちょっとだけ体を傾ける

店長も一緒に傾ける・・

信号を右折する・・さっきよりもっと傾ける

店長も一緒に傾ける・・

調子が出てきた・・

クランクコーナーに差し掛かった・・

右~左に軽快に抜けていく

こんなバイクでもコーナーを駆け抜けるのは楽しい

そんなことを思いながら走った!!

 ~~~~~

「如何でした?」

店の裏口に着いて・・バイクを降りる

「元カノのとは迫力もスピードも違うけど

  楽しかったよ・・」

「ちなみに元カノは何に乗っていたんですか・・」

「なんか・・ハーレーとか言ってましたが・・」

「ハ・ハーレー!う・うらやましいぎゃー!!」

「なんかスッキリしました・・

これで彼女に告白できます!」

「そうですか・・それは良かったです」

そう言うと店長は暗闇に消えていった・・

   

数日後・・バイト先で・・

「ちょっと・・こちらに来てください!」

店長が控え室から手招きしている・・

中に入ると・・

「実は・・」

店長は力なく言葉を発した・・

「栄子さんに振られました・・」

「ええーー!!店長の好きな女性って

     栄子さんだったのキャー!!」

―――(あんな良い彼がいるんだで無理だがや!)

と心で思ったが・・

「それで・・もう私はこの店に居られません・・」

店長はがっくりと肩を落として・・

「職安へ行って・・職探しをしました・・」

「良いところはあったのキャー?」

「ここよりもっと条件の良い会社があり

      そこに行くことにしました・・」

「そうですか・・」

「貴方にはいろいろお世話になりました・・」

「いえぇぇーーこちらこそ・・」

「今日で最後です・・」

「それは急だギャー・・」

「こういう時は早いほうが良いのです!」

「そうですか・・」

「それでは私はこれで失礼いたします」

「元気で頑張って欲しいなや!」

「さようなら!」

そして店長はロッテリアを去っていった・・

   

「・・というわけなんだぎゃー」

学食で“坂元”“おちん”“ヒロトモ”“粕淵”

と一緒に駄弁っていた

「そうか・・それは残念だったなーー」

と“おちん”がから揚げを突っつきながら言った

「でも・・それはしょがねーーっぺ!」

“坂元”も味噌ラーメンを啜りながら悪態をついている

「それより・・栄子さんは美人だったか?」

と“ヒロトモ”がカツサンドを頬張って言った

「美人というより賢そうで落ち着いた感じかなや!」

と俺は蕎麦を啜りながら言った

「そういえば・・“竹之内”が駅前のミスタードーナツで

  バイトしてるんだけど・・

結構良い時給もらってるって言ってたぞ」

“粕淵”がコロッケにソースを掛けながら言った

「いくらだぎゃー?」

「夜で千円って言ってたぜ!」

「せ・せんえん!!」

「そりゃー変わるきゃないぜ!」

「ほりゃーーええぎゃーー!!」

   

その夜・・

「こんばんは・・バイト希望なんですが!」

ミスド(ミスタードーナツの略)の自動ドアを

くぐって言った

「あれ!竹之内だがや!」

「いらっしゃい!」

「いやーー!バイト希望だがや!

     それで本当に時給千円くれるんきゃー!」

「そのかわり・・朝までですよ・・」

「千円なら8時間働いて8千円だぎゃー♪」

「・・・」

「それじゃ・・店長がいますから呼んできます」

“竹之内”は奥に引っ込んで・・

「バイト希望というのは貴方ですか!」

甘いマスクの青年が出てきて・・

「私が店長の斎羽です・・」

「ええーーー!店長??!」

「実は条件の良いのはミスドだったのです!」

「・・・」

「それでは・・また宜しくお願いいたします!」

「・・・」

   

その後・・結局ミスドで斎羽店長にこき使われ・・

苦労しながらバイトに励んだ・・

   

結局・・その年 小仁多先生の選択の授業は落とされたが

次の年にしつこく受けて 何とか単位を取った・・

   

PS この物語はドキュメンタリーではなく

           作者が勝手に執筆したものです。

   よって登場人物や出来事・言動など

       事実と相違いたしますのでご了承下さい。

   

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2008-10-02

モンスター走行奮闘記 第2章 LAP:2

≪PROLOGUE(プロローグ)

「あれ・・こんなところにドカが・・」

ある休日の朝・・何時ものように散歩した・・

そのマシンは普段はシートカバーに包まれて・・

どんな車種か分からなかったので

そんなに気にはしていなかったが・・

「すげーーぜぇ・・カッコええぜぇーーー!!」

そして携帯で記念写真撮影して

「えっと・・この車種はSSでも無いし916でも無いし・・」

早速・・家に帰って調べた・・

   

「これこれ・・MHR900か!」

ドカの専門誌を片手に・・

「えーー20年以上のバイクだ・・」

「結構・・綺麗だったけど・・」

携帯の写真を見ながら・・

「へーー!何方が乗ってるんだろう・・

         また行ってみよう・・」

   

P1000055

 

 

 

散歩の途中に“MHR900”と遭遇!その雄姿に感動した!

   

P1000049

 

 

 

 

 

 

 

 

 

MHRのフロントビュー!前からもカッコイイ!

   

 

 

「チョイ悪中年ライダーズ

モンスター走行奮闘記 第2章 LAP:2」

  (MHR900編)

   

そして数日後・・何時ものように晩酌を・・

「気持ちよく飲んだところで・・散歩に行くか!」

足取りもしっかりせずに・・

フラフラしながら我が道を行く・・

その先は・・あの“MHR900”だった

   

その家の前に来ると・・

小学校低学年らしい女の子と

自分より一寸若いお父さんらしき方とで花火をしていた!

「こんばんは!」

真っ赤な顔で挨拶する・・

「こんばんは・・」

ちょっと硬い顔で先方は答える・・

「私はドォカティS4Rブルーに乗っているのですが

あのMHRに乗ってらっしゃるので・・」

ニコニコしながら話すと・・

「はい!そぅなんです・・新車から購入して・・

  1984年だから・・もう24年になるかなぁ・・」

ちょっと綻んだ顔で先方は答える・・

「えーーそれは凄い・・もしかしてメンテもされます・・」

「職業柄レシプロエンジンも扱っていますから・・」

「職業・・何をされているのですか?」

すっかり笑顔の表情になって先方は答えた・・

「航空機の整備です!」

「航空機の整備!!かっこいいーーぜぇ!」

すっかり・・ちょーしこいてそう言った・・

そしてMHRに顔を向けて

「ちょっとこれ・・見てええかね?」

「どうぞ・・ご自由に・・」

MHRに近づくと・・

その女の子が人見知りせずに・・

「このステッカー・・私が貼ったのよ!」

満面の笑顔だった・・

「そうか・・このバイクは好きかな?」

「だぁーーいぃーーすきぃーー」

――(う・う・うらやましいぜ・・)

――(家の“お上”につめの垢を煎じたいぜ)

「そうかぁ・・そりりゃ・・ええなぁーー」

そう言って女の子の頭に手を置いた・・

   

「杉尾さんって知ってる・・同じ町内の・・」

「何処に住んでいる方なの?」

“お上”は怪訝そうな顔をこちらに向けて

「いやーー!その角を曲がって5本目ぐらいを

  左に曲がって2軒目のうちだけど・・」

「何か仕出かしたの?」

ちょっと険しい顔で言い放った・・

「違う違う・・そこのご主人がドカに乗ってて・・」

もっと険しい顔になり・・

「またぁ・・バイクぅ!!」

「いや・・そのご主人は・・立派な方で

  えっと・・24年間も乗ってて・・

   あっっと・・もうこんな時間だ・・

    さて・・明日も早いし・・寝よっと!」

そう言って逃げるように寝室へ向かった・・

   

「今度の四国は天気が心配だギャー」

例によって・・熊倉は1週間も前から連絡が来る

「まだ日にちがあるから・・

天気はどうなるか分からんぜ!」

「てゃーふー13号が来てまっとるでよ!」

その台風は時速10㌔程度でノロノロ運転だった!

「そんなもんは・・また反れるから心配ないぜ!」

「ほぅーきゃー!」

「とりあえず前日に決めよーぜ!」

   

≪淡路島経由 四国~小豆島へ秋の瀬戸内海を満喫の旅≫

と称して“リゾートホテルオリビアン小豆島”へ宿泊して

一泊二日のツーリング計画に・・

“ZZR熊倉”“マックスみや”“ビーエム龍崎”と

自分の4人で行くことになっていた♪

   

そして前々日の夜・・

「やっぱ・・あかんギャー!」

熊倉から緊急連絡だった・・

「金曜日に四国で次の日は東海に上陸してまうがね!」

大型の台風13号は台湾に大打撃を与え

勢力を保ちながら九州の南を通過していた・・

「そうだなあ・・フェリーも乗るし・・

  ちょっと・・危険かも・・しょうがないか!」

そう決断して・・残念ながら四国入りを断念した・・

「ほれじゃ・・日曜日に日帰りで行こみゃー・・

     日曜なら完全に過ぎてまっとるでよ!」

「そうだな・・そうするか・・」

そして泣く泣く皆に打診した・・

   

マシンはタイミングベルトを交換するために

 レッドバロンへ預けてあった・・

金曜日に取りに行き

土曜日からツーリングに行く予定だったが

金曜日は雨風が強かったので土曜日にした・・

   

そして土曜日の朝・・

「あなた・・ツーリングは如何したの・・」

「台風で中止した・・」

すっかり天気になって日が差し込んでいた

「こんなにいい天気なのに・・」

“お上”は勝ち誇ったように笑顔で言った

「・・・」

“お上”は当分予定が取れないことを知っていたが

「残念ね・・それで次回は?」

「・・・」

「そう・・決まってないの・・

  そのままお止めになれば宜しいのに・・」

「・・・」

その場にいたためられなくなって・・

「ちょっと・・会社へ行ってくる・・」

「バイクは何時とりに行くの?」

「夕方にするわ・・」

そう・・言い捨てて出かけた

   

そんなに仕事が溜まっている訳でもなかったが・・

会社に着いて仕事をこなす・・

   

なんだかんだで夕方になりレッドバロンへ

マシンを取りに行くと・・

マシンは綺麗に出来上がっていたが

「HIDヘッドライトの接触が悪く

交換したほうがいいかもしれません」

「交換!・・それは・・

次回にしよう・・それで幾らですか?」

「2万8千円になりますが・・」

「ええーー!結構するのですね・・」

あの転倒の際に支払ったのは40万円以上・・

すっかりヘソクリは無くなっていた・・

――(財布が空っぽだ・・明日の昼からは

         カップラーメンだな・・)

と泣く泣く現金を支払って・・

「さて・・そういえば“尾張パークウェイ”が

  無料開放になったんだ・・そこに行ってみよう!」

   

【注:尾張パークウェイは 1986年3月に開通し

    入鹿池から日本モンキーパークに通じており

     全長7.7㌔で高速コーナーが絡み合い

      路面状態も良くアップダウンも程よくあり

       結構楽しめるフリーウェイである】

   

尾張パークウェイに入ると・・そこそこの車が走っていた

「有料の時は車が少なかったのに・・」

有料の時は 入鹿池から料金上の手前でUターンして

無料で楽しんでいた・・

しかし・・その時・・

対向車線の車の間に一台のバイクが見えた・・

「あ・あれは・・MHRだ!!」

そのバイクは只者で無いような爆音を上げて通過していった

「よおおぉしぃーー・・Uターンだ・・」

ドタバタしてUターンを済ますと

アクセル全開で追ってゆく・・

程なくして車の後ろで ゆっくり走っていた

~~真っ赤なマシンを発見♪

「ナンバーも尾張小牧だし・・間違いない・・」

このあたりは尾張小牧ナンバーだったし・・

マフラーもコンチにカスタムしてハーフカバー状態なので

杉尾さんだと思って確信を持って付いて行く

信号で止まった

「先日は・・どうも・・」

「・・・」

「タイミングベルトを交換したら

結構かかっちゃって・・」

「・・・」

スモークシールドで顔の表情は分からない・・

――(あれ・・反応が無い・・雲行きがあやしいぜ!)

信号が青に変わった・・

2台は発進する・・

相変わらずの爆音を上げてMHRは走っていく・・

――(尾張小牧ナンバーでハーフカバー状態のMHR

    は何台もあるはず無いんだけど・・

     それに今日の夕方このあたりを

走るって言っていた様な・・)

そう思いながら・・走っていく

彼は左にウィンカーを出すと広めの路側帯に止まった

そしてヘルメットを取ると・・

長髪で若く渋い顔が現れた・・

「あ・あれ・・人違いだ・・すみません・・」

「いいですよ・・たまに有ります・・

  この前も“道の駅”に入ったとき間違えられて

声を掛けられました・・」

「そうですよね・・この20年以上前のMHRが

   そう何台もありませんよね!」

「3年前に購入したんです!」

「マフラーもコンチですよね!」

「そうなんです・・よく知っていますね・・」

「私の知り合いもコンチにカスタムしています」

「この音が良いんですよ!」

「それでは大変失礼しました・・

また何処かで会いましょう・・気をつけて♪」

   

「へーー!このあたりで同じようなMHRを

乗っている方が居るんですか・・」

結局・・帰りに杉尾家に寄ると・・

彼はMHRの前で整備をしていた・・

「そうなんですよ・・今~パークウェイで遭遇しました」

「先ほど走りましたけど・・会わなかったな・・」

「珍しいですよね・・こんな近所でMHRは!」

「このコンチは集合なんですね・・

彼のは2本出しでした」

「2本出しはもっと音が五月蠅いんです・・

  だから集合タイプにしたんですよ・・」

「そおぉー・・なんですか・・」

辺りは日が暮れて暗くなってきた・・

「来週の休みは“アサレン”しますか?」

「私は仕事です・・明け方なら良いですが」

「明け方か・・最近ヘッドライトの調子が悪くて

          暗いうちは・・ちょっと!」

「そうですか・・

それではまたの機会にご一緒しましょう!」

「それじゃ・・また・・」

暗くなった道を明かり無しで帰宅した・・

   

そして・・あくる日の日曜日・・朝から雨だった・・

早速・・熊倉から携帯が

「この雨だで止めよまい!」

「しょうがないな・・」

「わしゃー来月は忙しいもんで

行けんかもしれんギャー!」

「そうか・・じゃ・・四国はまたの機会に・・

     俺もスケジュールが詰っているし・・」

「ほーきゃー・・それじゃ・・」

マックスみや氏も

「こちらは土砂降りです・・残念です・・」

「それじゃ・また次回に・・」

   

次の休みになった・・

時計を見ると朝5時を回っていた・・

外を見ると秋晴れだ!!

「結構・・明るいぜ♪・・よっしゃ“アサレン”だ♪」

いつものように戦闘服を纏い・・

モンスターを目覚めさせる・・

≪キュルルル・・ヴォン・・ヴォン・・≫

   

そして“尾張パークウェイ”に向かう・・

入鹿池を過ぎた辺りで・・一台の真っ赤なマシンを発見!

「よおし・・追撃開始!」

そのマシンのスリップストリームに入り込み・・

戦闘体勢モードにスイッチオン!

「あれれれぇ・・よく見ると・・

杉尾さんのMHR900だ!今度は絶対間違いない」

そのマシンはこちらを確認すると

只者で無いような爆音を上げて急加速する・・

「すげえ・・昔のマシンなのに・・」

こちらも負けずにアクセル全開!!

彼は一台の車を右から軽くパスする・・

こちらも同じようにパスする・・

右に左に軽快にパスする・・

しかし・・あっという間に終点のモンキーパークに到着!

「お早うございます・・

やっぱり“アサレン”来ましたね」

「仕事前のストレス解消です!」

「休日なのに・・大変ですね!」

「それじゃ・・入鹿池に行きますよ!」

   

Img_2791 

 

 

 

 

彼は24年前に新車で購入・・そしてメンテもこなす・・

 

 

入鹿池の畔でコーヒーを飲みながら・・

「これの前は中型免許でRZ250に

乗っていたのですよ!」

「私もVγに乗っていました・・」

「それで大型免許は?」

「平針に通いました・・」

「何回ですか?」

「10回くらいかな・・」

「ええーー!すごい10回で取ったのですか・・」

「ええ何とか取得してこいつを買ったんです!」

彼は朝日に輝くMHRに向かって言った・・

 

Img_2794

 

 

 

 

朝日に輝く新旧のドカ!!

 

Img_2801 

 

 

 

 

次の週にも“アサレン”に行った・・この日の入鹿池は寒かった・・

   

≪EPILOGUE(エピローグ)

「っという訳で・・最近MHRに縁があって・・

   あのマシンはカッコイイし・・」

「また・・杉尾さんとは散歩中に もう一台所有している

  セローに乗っていた時にも・・出会ったし・・」

“お上”は無言で聞いていた・・

「いいよなぁーー・・自分で全部整備出来るなんて・・」

「それじゃ・・彼方も航空機の会社に転職したら?」

“お上”は少し不機嫌そうに言い放った・・

「い・いや・・いまさら・・」

「それよりも・・これ!」

そう言って“お上”はある紙を差し出した・・

その紙を繁々と眺めると・・

「なになに・・ETC利用明細・・

合計が2万4千5百円!!」

≪サーーーーッ≫

自分の顔の血の気が引くのが分かる・・

――(先月の長野行きや・・その他の道路代か・・)

「そ・そそれじゃ・・もうこんな時間だし

  明日も早いし・・寝よぉーか!」

「いいけど・・これは小遣いから引かさして

             いただきますので・・」

「ええーー!そんな・・とほほほ・・」

「しょうがない・・

HIDヘッドライトはノーマルに戻すか・・」

   

PS この物語は ドキュメンタリーではなく 作者が勝手に執筆したものです。

よって登場人物や出来事など 事実と相違いたしますので ご了承下さい。

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